「人が活躍できる場所、たとえるなら『水を得た魚』が泳ぐ『水』を作りたいんです」
そうお話されるのは、Focus&Journey(以下、フォーカス)の管理人のお一人である高山雅樹さん。通称「まぁさん」。
現在は、フォーカスの管理人をしつつ、接骨院で治療家をしながら、バスケチームのコーチも務め、さらに最近では新しい取り組みもはじめているそう。
治療家だったまぁさんが、なぜフォーカスというオンラインコミュニティを作ることになったのでしょうか。
一緒に管理人をしている大野理恵さん(通称「ハピさん」)とのこと、フォーカスという場所に抱く思いやご自身の変化など、お話を伺いました。
誰かが活躍する場所を作りたい
ー まずはじめに、なぜ「フォーカス」を立ち上げようと思ったんですか?
「僕は接骨院をやってるんですけど、昨年、今後どうしていこうかって考えた時に、あるセミナーで『多店舗展開をしたらいい』って言われたんですよね。でも売上のために店舗を増やすっていうのがなんとなくピンと来なくて動けずにいたんです。
でも、誰かが活躍できる場所を作りたいとは思っていて。それが教育の一つの形なんじゃないかと思って」
ー もともと教育に興味があったんですね。
「30年ずっと、地元で子供たちにバスケを教えているので『人を育てる』ことに興味はあって。子供たちと関わっている時も、彼らが活躍してる姿を見るのが嬉しいんですよね。だから、自分が店舗を建てることで、誰かを成長させる場所、活躍できる場所を作るのはありかもしれない。そう思い直して」
ーよし、店舗を作ってみようと。
「そのセミナーの時、隣の席にいたのがハピちゃんだったんですよ」
ーへえ!そうだったんですね!
「ハピちゃんって、人を繋ぐのが得意だったんですよね。だから『こういう場所を作りたい。そのためには、こんなジャンルの人たちがいたらいいな』って話をしたら、1週間以内に人を揃えてきたんですよ(笑)
ー仕事が早い!(笑)
「周りを固められてしまったという(笑)そこからどう形にしていこうかって、何度かミーティングを重ねているうちに、接骨院をやるとしたらリアルに店舗を持たなきゃいけないよね。接骨院じゃないかも?って話になってきて」
ーまぁさんとしては、人が活躍できる場所なら接骨院という形にこだわりはなかったんですね。
「そうですね。スタートが接骨院じゃなくて『誰かを育てる場所を作る』ってことだったので。色々話すうちに、オンラインなら何ができるだろうって。最初は『瞑想会』を何度かやってみたりして」
ーハピさんと一緒にやろうというきっかけは何だったんですか?
「最初に相談したのがハピちゃんだったっていうことと、もうひとつは、僕がハピちゃんに『人を育てる場所をつくりたい』って話をしたあと、ハピちゃんがそれを友達何人かに熱弁したらしいんですよ。『まあさんが、こういうことやろうと思ってるんだって!』って」
ー宣伝してと頼まれたわけでもなく。
「そうなんです。そうやって自分の思いとか情熱が出てる状態って、すごく健全だよねって。みんながそういう風にエネルギッシュになれる場所、『水を得た魚の『水』を作りたいんだよね』ってハピちゃんに言ったら『分かるー』みたいな」
ーうーん、2人にしか分からない感覚ですね…(笑)
「そこから、ブランディングが専門のなっちゃん(原 菜摘さん)に入ってもらって、僕たちが抽象的な思いで突っ走っちゃうのを、お客さんにどうやったら伝わるかを一緒に考えてもらって」
ー「水」が作りたいんだよね!とか?(笑)
「『水って何?!』みたいな(笑)
そこからみんなで色々話し合って、結果『オンラインコミュニティ』っていう形でできるじゃないかってなったんです」
ーなるほど。でもフォーカスって、よくあるオンラインサロンとは少し形態が違いますよね。
「そうですね。オンラインサロンはどっちかっていうと、上に誰かカリスマがいて、その人から何かを学び取るみたいな感じだけど、僕らはベクトルが逆。
入居者一人一人が主人公で、僕らはあくまで管理人。僕らと対話をすることやイベントに参加することで、自分の答えや本来の魅力を自分で見つけ出していく。そうすると活力が溢れてくる。その活力溢れる状態を、毎日に活かせる仕組みを提供している。そんな場所ですね」
ーなるほど。主人公がその人の魅力を自分で見つけて、活力が溢れる場所。
「形があって、形がない。水を得た魚の『水』なんですよ」
ー(笑)
自分自身にとってもチャレンジだったフォーカスという場所
ー実際にフォーカスを立ち上げてから、まぁさん自身何か変化はありましたか?
「そうですね。大人への抵抗感がなくなりましたね。実は僕、大人…特に大人の女性が苦手だったんです。ずっと子供たちにバスケを教えていたけど、保護者を避けてきたんです」
ーなぜ大人の女性が苦手だったんですか?
「多分、母親の影響ですね。話を聞いてもらえなかったとか、いつも『ああしなさい』『こうしなさい』って言われてたり、自分がやりたいことを認めてもらえなかったりとか。だから『大人は否定するものだ』ていう思い込みがあって」
ーそれを乗り越えて、大人のコミュニティを作ろうと
「大人たちにフォーカスを当てて、コミュニティを作って、メッセージを発信していこうって。僕自身にとっても、すごいチャレンジだったんですよね」
ーハピさんという「女性」と組んでるのも、また面白い話ですよね。
「そうなんですよね。ハピちゃんは絶対否定しないんです。承認力がすごく強いんですよね。『いいよいいよ、そうだよね、大丈夫だよ』って、僕のありのままを認めてくれる。今まであった『大人の女性には否定されるものだ』という思い込みが、ハピちゃんが承認してくれることで、少しずつ消えて行って。
僕自身、ハピちゃんと話すようになって、大人の女性への苦手意識を克服できたところも大きいんですよね」
ーご自身が「対話を通しての変化」を実感されたんですね。
「ハピちゃんと話すことで、みんながみんな否定するんじゃないっていうことを体感したり、あとは入居者さんの葛藤や悩みを聞いたことで『みんな色々あるよね』っていうことが分かった。だから、保護者間のトラブルとかに巻き込まれても『いろいろあるよね』っていうことが理解できるようになったんですよね。今までだったら『大人の女性はやっぱりそうか』って、否定されたと思って落ち込むわけですよ」
ーフォーカスで学んだことが、バスケのコーチにも活きてるんですね
「両方にとっていいことだなって思いますね。他者理解が深くなったことで、自分の器みたいなものがすごく大きくなったような気がするんですよね」
見守って、承認して、自分を見つける手助けをする
ーフォーカスってどんな場所ですか?
「『自分の人生を生きる』がテーマの場所。本当に大切なことや、人生の宝物を見つけてもらう場所です」
ーそのために、管理人としてどんなことをされているんですか?
「入居者のみなさんが自分にフォーカスするために見守ることと、新しい自分に出会うための旅(ジャーニー)になる場を提供することですね」
ーまずは「フォーカス」の部分ですが、具体的にどのようなことをされていますか?
「主に対話ですね。月に一度のミーティングは入居者さんと1対1で対話をします。問いかけを繰り返して、ご自身が『本当にやりたいこと』『感じていること』など、本質を見つけていく時間ですね。
もうひとつ、週に一度の朝礼はグループで行います。
1週間の振り返り『先週どうでしたか?』『今週は何をしますか?』という対話を通して、ミーティングで決意したことや、その時の気持ちなどを思い出してもらう場にしています。日常に戻ると、どうしても思いが薄れていってしまうので」
ーそれだけで、入居者さんは変わっていくんですか?
「そうですね。『どうしてそう思ったの?』『何にモヤモヤしたの?』という問いかけや、もし何かやってみたいことがあるって言葉が出てきたら『大丈夫だよ、やってごらん』って。それを重ねると自分の本音が見つかってくるんです」
ー答えは自分で探してもらう?
「そうですね。自分で気付くってことが、すごく重要なんですよね。自分の中にある答えを自分で見つけていくことができれば、自分の人生って豊かになると思うんです。だって自分で選んでるから。自分で決めてるから。
でも、それを知るためには、自分の中から湧き出して来る感情を感じることが大事。今って、自分が感じていることが、分からなくなってしまっている人がすごく多い。みんな『ああしなさい』『こうしなさい』って言われてやってきてるから、自分で感じることが苦手なんですよね」
ー自分が何を感じているかが分からない人が多い。
「そう。だからまずは、感情を全部吐き出してもらう。お腹の中にあるモヤモヤとか自信のなさとか、全部吐き出してもらう。僕らはアドバイスはしないけど、否定もしない。ただ吐き出す場所を作る。
そうやって本音と向き合って対話を続けるうちに、自分の本音とか『本当にやりたいこと』『本当はやりたくなかったこと』が分かってくるし、腑に落ちてくる。そうすると、勝手に行動していくようになるし、自分の本当の感覚に敏感になっていく。『これでいいんだ』って本当に心の底から思えるようになる」
ーアドバイスも否定もしないんですか?
「しない。承認しかしない。もし『こうした方がいい』とか『これはやめた方がいい』ってアドバイスしたら、自分で考えることをやめてしまうし、それは自分の出した答えじゃないから腑に落ちないんですよね」
ーなるほど。コーチングともちょっと違うんですね。
「そうですね。『答えは自分の中にある』というところは同じですが、少し違いますね。コーチングだと目標があって、そこに向かってアドバイスをもらいながら進んでいくような感じですよね。でもそうじゃなくて、その人が思うようにどんどんやらせていく。『どうしたいの?』って聞いて、その人の思いをどんどん引き出していく。そしたら次は『それをやってみたらいいんじゃない?』って」
ー自分にフォーカスするのをただ見守るだけ?
「そうですね。それでもし、やってみてうまく行ったらいいし、うまくいかなくて『何か違う』ってなったら『何にモヤモヤするんだろうね?』って問いかける。
ポジティブな面もネガティブな面も感じることで、自分が本当に思っていたこと、やりたいと思っていること、自分の本質に気づいていくんですよね」
ーなるほど。あくまでも自分で探していくんですね。
「時間はかかるかもしれないけど、自分で気がついて自分で納得して、自分で次のステップへ進んでいく。それをそっと見守るだけです」
自分を承認してくれる人がいる安心感を感じて欲しい
ーミーティングや朝礼ではそれまでの振り返りをするそうですが、『これやります!』って宣言したのにできてないと、言いづらいと感じる方もいませんか?
「え、全然いいよ~って(笑) 『本当はやりたくないんじゃない?大丈夫?』って。言ってみたものの、本心ではやりたくないと思っていることってあるんですよね。本人も気付かないところで。
だから、やりたくないんだったら、全然やらなくて大丈夫だからねって言います。『やりたくないこと』が見つかるのも大切なことだから」
ー「承認」って、一言で言っても奥深いものなのですね…。
「『振り返り=反省するもの』だと思ってる人たちが多いんですよね。でも反省して落ち込んだらエネルギーが下がる。だから、反省なんかしなくていいよって。反省なんか猿でもできるでしょって(笑)
だって、自分が作った約束だったとしても、そもそも約束が違ってたかもしれないじゃないですか。本当に自分がやりたいことじゃないんだったら、全然やんなくていい。『やりたいことだけやろうよ!』って」
ーでも、何がやりたいか、分からなくなってる人も多いですよね。
「そうなんです。麻痺しちゃってる人が多い。だからまずは吐き出してみる。そうじゃないと分からない。言ってみてやってみて、何か違うかも?って後から気付くことも多い。全然言ったことが変わってもいい。そうやって繰り返すことで、本音に近づいていくから」
ー対話で言葉と気持ちを吐き出して、少しずつ「自分が本当にやりたいこと」へ辿り着くんですね。
「そう。『こんなことがやってみたい』『いいね、やってごらんよ』、実際やってみて『どうだった?』『ちょっと違ったかも』『そっかそっか。どうしてそう思ったの?』って、対話を重ねることで、少しずつ自分の本音を見つけていく。最終的には自分自身で『私はこれがやりたいんだ』にたどり着くんです。
そしたらもう、エネルギーが乗って回り始めるから、気づいたら『やりたいことしかない』になるんですよね」
ーそうなったら最強ですよね。でも「やりたいこと」がすぐ見つかるかどうか不安です…。
「ゆっくりで全然大丈夫。自分から湧き出てくるものを一つ一つ拾い上げていくしかない。時間がかかっていいし、かかるものだよねって思ってる」
ーでも、恥ずかしいとか『こんなこと話していいのかな』って、思っちゃう人もいますよね。
「そこが、僕らが第三者だからいいんですよ。近すぎず遠すぎず、ちょうどいいところにいる否定しない第三者」
ーなるほど。確かに家族や友達に話せないことも、第三者だから話せるってありますよね。
「そうなんです。だから僕やハピちゃんみたいな第三者と話すって、すごく意義があるんですよね。僕自身、ハピちゃんに『大丈夫だよ』って承認されることで変わったからすごく感じるんですけど、自分よりも自分のことを本当に信じて『大丈夫だよ』って言ってくれる人に出会うことって、すごく重要だと思うんです」
ー表面上だけじゃなく、心から自分を信じて「大丈夫」って言ってくれる存在。それは大きいですね。
「めちゃくちゃ大きいです。そういう人に出会うことで、人生は変わると思うんですよね」
ーフォーカスには少なくともそういう存在が2人いるってことですもんね。
「そうですね。ハピちゃんに出会うまで、僕は承認の天才だと思ってたけど、僕以上にハピちゃんの方が天才だったんですよ。そんな2人が承認します(笑)」
ー承認の天才2人に見守ってもらえるなんて、すごく心強いですね!
旅をするように新しい自分に出会う
ーでは、「旅」についてですが、どういった活動がありますか?
「実際に『旅に出る』という意味だとリトリートですね。フォーカスで主催する場合と、リトリートを開催したいという入居者さんをプロデュースする場合もあります。
日常を離れて非日常の自然が豊かな場所に行くことで、何も考えずに感じる時間を作ることができる。それって瞑想のような時間なんですよね」
ーなかなか頭を空っぽにする時間ってないですもんね。
「普段は仕事や家事に追われていて、頭を使って『考える』ことがすごく多いんですよね。だからそういうのを手放して、ただただ自然を感じる。自分の中から湧き出てくる気持ちをただ拾っていくんです」
ー実際参加された方は、どんな感想を持たれていますか?
「行って良かったって喜んでもらえますね。日常から解放されて、心に隙間やゆとりができて、普段感じないことを感じたりとか。何となく優しくなれるような気がしたとか」
ーでは、リトリート以外だとどんな「旅」がありますか?
「今まで会ったことない人や、見たことない世界とのつながりを作ること。たとえばイベントなどチャレンジができる場所を作ることですね。そこに参加することで、新しい出会いが生まれたり、新しい気付きがあったりします」
ーコミュニティ内の出会いも新しい世界ですよね。
「たとえば、入居者の中に70代の方がいらっしゃるんですけど、若い世代の人たちに関わってほしいなって思うんですよね。いろんな年代の、いろんなカテゴリーの人と交流してほしいなと思うし、そういう場を作りたい」
ー普段の生活では出会わない人たちとの交流も楽しいですね。
「それってオンラインだからこそできることだと思うんですよね。
自分の世界だけにとどまるんじゃなくて、普段関わらない年代や仕事の人と関わって話をすることで、その人たちが何を考えてるのかに触れるって、すごく刺激になると思うんです」
ー交流の場は色々用意されているんですか?
「そうですね。朝礼やイベントなど色々あります。でも、全部参加は自由。一切強制はされないし、参加しなくても『どうして来ないの?』とか問われることはありません。
たくさんのイベントに参加される方もいれば、月に一度だけの対話コーチングセッションだけ受けている方もいるんです。あくまでも自分のペースで参加してもらえば、大丈夫」
ーここでも否定はされないんですね(笑)
「はい。承認しかしないので(笑) 自由なんです」
変化は少しずつ。だからこそ本質に辿り着く
ー入居者さんの変化は、まぁさんからどんな風に見えるんですか?
「劇的な変化っていうのはないんですよね。たとえばオセロだったら、白が黒になるんじゃなくて、大きさがちょっとずつ『あれ?何か大きくなってきてないか?』みたいな」
ー少しずつの変化なんですね。
「そうですね。半年とか1年経って大きさの変化に気がつくっていう感じですね」
ーでも今って、劇的な変化が求められますよね?
「そうなんですよ。でも、劇的な変化って薄っぺらいんですよ。本質って、時間をかけて丁寧に培っていくものなんです」
ー少しずつ丁寧に変わっていくから戻らない。
「そう。本質に返っていくんです。薄皮をはがしていくように、自分の本心に気がついていく」
ーそれは時間がかかりそうですね。
「なので、最初に1年間ですよっていう話をするんですけど。焦らず、時間をかけて丁寧にやっていく。僕らは、見守り、問いかけ、壁打ち相手をするだけ。そうすると、自分で見つけて歩み出していくんですよね」
ーそれはやっぱり嬉しい瞬間ですか?
「そうですね。自分のやりたいことを見つけてエネルギーが乗ってる状態を見ると、すごくいいなって思います」
・取り残される人がいない状態を作りたい
ーフォーカスの管理人として、心がけてることはありますか?
「まずはジャッジしないこと。それと、1人1人にちゃんとフォーカスを当てて、取り残されてる人がいない状態っていうのが大事だって思っています」
ー朝礼やイベントなど全て自由参加とのことでしたが、全然参加していないな…という入居者さんを見かけたら、何か手を打たれるんですか?
「個人的にメッセージしたりします。でもそこも難しくて、何でもかんでもやってあげればいいかっていうとそうでもない。やっぱり主体的にやることが大事だし、その人のタイミングもあるだろうから、全部お節介しすぎず、でも放置にはならないよう、見守ります」
ーほど良い距離で見守るんですね
「影響を与えすぎないように、ですね。
人って、ポジティブに動いている時もあれば、へこんで動けないこともある。だから『そういう時あるよね』って。でも結果的には絶対良くなるって信じてるので」
ーへこんでる時に信じてもらえるのは強いですね。
「フォーカスっていう場所は、名前の通り『自分にフォーカスする』っていうことが原点だし、それができたら次は、チャレンジしていこうっていう旅をしていく。
自分がやりたいことが見つかったら、じゃあやろうよ。やってみたら何か違った。全然いいよ。どう思ったの?どう感じたの?次どうする?って。もう、ポジティブしかないんですよね」
ーもし違っても「全然大丈夫」?
「進んでるんだから。転んだっていいんですよ。全然大丈夫」
ー怖がって何もしないよりは、もう転んじゃった方がいい?
「だって生きてる時間って限られてるんだよ。明日死んじゃうかもしれないから。自分がやりたいことを片っ端からやってった方がいいじゃん。その方がハッピーでしょ?って、そう思います」
今後のこと
ー最後に、今後について教えてください。
「優しい社会になったらいいなっていうのが、僕の根底にあって。そのために今『ばあちゃん食堂』をやりたいなと思って取り組みをはじめてるんです」
ーばあちゃん食堂とは?
「地域の75歳以上のおばあちゃんたちが働く場所、活躍できる場所を作る取り組みで、すでに動き出しているんですけど。
どうしてはじめたかって言うと、現状の介護の形に限界が来ていると感じていて、介護をしてあげる介護よりも『活躍させてあげる介護』の方が健全な介護なんじゃないかという思いがあって」
ーやっぱり「人が活躍する場所」を作りたいんですね
「おばあちゃんたちが今まで培ってきた料理の知恵を借りたり、畑をやったりしたいと思っていて。そこで、土を触るところから食卓に上るまでを、子供たちと一緒にやりたいなとも思っていて」
ー素敵な取り組みですね。
「そうですね。僕は治療家で、畑も飲食店もやったことがないんですけどね。だからこそ、いろんな人の力を借りてやりたいなと。僕、今ちょうど50歳になったんですけど、子供とお年寄りのハブになれる年齢だなと思っていて」
ー今までのオンラインとはまた違う形で。
「その食堂がフォーカスの拠点にもなると思うし、それに、フォーカスはフォーカス、ばあちゃん食堂はばあちゃん食堂じゃなくて、その境界線を溶かしていくっていうことやりたいんですよね」
ーますます人が活躍する場所を増やす活動、楽しみにしています。
さいごに
常に優しい語り口でお話をしてくださったまあさん。
この優しい声で「全然大丈夫」そう言ってもらえたら、「うん。大丈夫かもしれない」そう思える気がしました。
家族や友達に何でも話せる。そういう人は、意外と少ないのではないかと思います。
自分以上に自分を信じてくれる、ほど良い距離にいる第三者である管理人のおふたりに定期的に話をすること。
それはものすごく心強いことなのではないでしょうか。
今日明日で急に大変化するものではないかもしれません。
でも丁寧に少しずつ、本当の気持ちと向き合うことで、結果的に大きく変わるのだと思います。
まぁさんたちが用意した「水」を得て、たくさんの方がすいすいと気持ちよく泳ぐ。
フォーカスはそんな場所なのかもしれない。そう思いました。
インタビュー・文 / 岡田知子さん
COMMENT