「ちょっとずつでも、人は変わっていく」

オンライン画面の向こうから聞こえる、犬の鳴き声。

「うるさくてごめんなさいね。人が通ると吠えちゃって」と、困ったように笑うのは嶋崎 理恵子(しまざき りえこ)さん。

鳴き声の主は、トイプードルのゆめちゃん。
12歳のおばあちゃん犬だけど「まるで女王様なんですよ」と、理恵子さんはふふふと優しく笑います。

栃木県で、夫と大学生の娘さん、そしてゆめちゃんと暮らしている理恵子さん。
いまは「子供向けアート教室」で、週に2回ほど先生をしています。

元々は専業主婦で「自分のために何かをする」ことができなかったそう。
子育てが終わるタイミングで、自分を変えたいと思い立ち、自分の内面と向き合うことをはじめました。
そして昨年、Focus&Journey(以下、フォーカス)に入居したことで、変化が加速したと話されています。

目次

「ちょっとずつ、ちょっとずつ」

 ご自身の変化をそう話す理恵子さんから、入居のきっかけなどについて伺いました。

長女が6年通っていた「アート教室」で先生に

ーまずは、現在 先生をされている「子供向けアート教室」について、あまり聞き馴染みがないのですが、どういうところなんですか?

理恵子さん:「絵の描き方を教える、とかじゃなくて、子供がそれぞれ好きなものを作ったり、描いたり。好きなように時間を過ごすっていう教室です。小学生のクラスと幼稚園生のクラスがあって、私は幼稚園生を担当してます」

ーたとえば、どんなものを作ったりするんですか?

「月に一回は先生が決めた教材、たとえば2月なら節分の鬼を作ったりとか。決まってない日は、好きな絵を描いたり、段ボールや空箱やらペットボトルとか色々用意してあるので、それを使って何かを作ったりとか。本当に自由なんです」

ー面白い教室ですね。理恵子さんは具体的に何を教えているんですか?

「なんかねぇ…助手みたいな感じなんですよ(笑)材料を準備したり、幼稚園生は粘土をこねたりするのが難しいから、それを手伝ったり。行き詰まってたら『一緒に作ろうか?』って考えたり。週に一回、1時間半ですが、毎回あっという間です」

ー元々はお嬢さんが通っていたんですよね。

「そうなんです。小学校1年生の時から6年生まで通っていました。本当にいろんな体験をさせてもらって、娘の土台はそこで築き上げてもらったといえるぐらい。先生が子供のあるがままを受け入れてくれる方なので、自分に自信がついたと思います」

ー理恵子さんが、その教室の先生になったきっかけは、何だったんですか?

「その先生が『アートセラピー』の講師もされていて」

ー「アートセラピー」って初めて聞きました。どういうものでしょうか。

「絵を通してコミュニケーションを取るというもので、その人が描いた絵の色だとか位置で、心の状態を見てカウンセリングをしたり。ちょっとそういうことに興味があって勉強をしていました」

ーそこから先生にと声をかけられたのですか?

「その頃は小学生のクラスしかなかったので、そこを手伝ってみないかって声をかけてもらって。
でも私、本当に絵心がなくて(笑) 本当にいいのかなあって迷いながら、お手伝いからはじめて。4年前に幼稚園のクラスをやらせてもらうことになって」

ー絵心はなくても大丈夫でした?

「はい、大丈夫でした(笑)」

ー4年やってみて、どう感じていますか?

「楽しい時もあるけど、子供が120%のエネルギーでぶつかってくるから、しんどいこともありますね。でもやっぱり生身の、なんて言うんだろう…ストレートな感情のぶつかり合いというのかな、そういうエネルギーが面白いっていうか、刺激があるなって感じます」

子育てが終わろうとした時、自分を知りたいと猛烈に思った

ー先ほど「アートセラピー」を学んだとのことでしたが、「セラピストになりたい」思いがあったのですか?

「そういう気持ちは全然なくて。ただ自分のことを見たいっていう、そっちに興味があって」

ー自分のことを知りたいと思われたきっかけは何ですか?

「子育てが終わる頃に、自分のことが苦しくなっちゃったんです。苦しくて苦しくて。なんかこう…『だめだな』って。自分を変えたい、どうにかしたいって思ってた時に、アートセラピーの話を聞いて、ぜひ学んでみたいなって思って」

ーその苦しさは、どこから来ていたのでしょう。

「ずっと、自分のことより人のことって感じで、自分のことにあまり気持ちを向けてなくて。自分の心と会話ができないというか、自分を殺してたっていうか。それが苦しくって」

ーアートセラピーを通して、何かを見つけることが出来ましたか?

「見つかったっていうか、気持ちの整理がついた感じですね。自分の内面とか内側と向き合って、こんなに自分に時間を使って良いんだとか。自分のことをこんなに考えても良いんだって。だいぶ楽にはなりましたね」

入居のきっかけは「この人と話したい!」

ー理恵子さんが、Focus&Journyを知ったきっかけは何ですか?

「管理人の高山さんとは元々知り合いで。昨年、子供も手がかからなくなってきて、自分の時間を作れるようになったし、何かやりたいなっていう話をした時に『こういうの作ってるんだけど、どう?』って声をかけてもらったのがきっかけです」

ーすぐに入居されましたか?

「いや、入るって決めるまでには、ちょっと時間がかかりました。新たな挑戦もいいかなって思ったんですけど、オンラインで話すとか慣れてないし、苦手だったし。それに、今までずっと主婦をしてきたから、会費を払うことにも抵抗があって。
習い事だと、見える手応えを感じられるけど、オンラインのサークルってどうなんだろう?成果は出せるのかな?って」

ー入居を決めた理由は一体何だったんでしょうか?

「ハピさん(管理人の大野理恵さん)の写真を見た時に『この人とお話ししたい!!』って、すっごく思ったんです」

ー何かの発言とかではなくて、写真だけでそんなに「話したい!」と…?

「なんですかね(笑) 自分でもよく分からないんですけど、『絶対にこの人と話したい!』って思って」

ー実際にお話しされて、いかがでしたか?

『やっぱり会いたかった人だ!』って思いました。雰囲気も、会話のやりとりもすっごく魅力的な方で。とにかく全肯定してくれるんです。ハピさんがキラキラしているから、お話ししていると自分もキラキラしている感覚になります」

ーそんなに言われると、会ってみたくなりますね(笑)

「ぜひ!会ってください!会ってお話しして下さい!!!」

はじめてのイベントで「人に頼っていいんだ」と思えた

ーフォーカスでは定期的に開催される交流会などとは別に、自由にイベントを企画・開催できますが、理恵子さんは何かされましたか?

「私、趣味で『ライアー』っていう楽器をやっているんですけど、『一緒にライアーを聴く会をやろう』って、コミュニティの中の方が声をかけてくれて。私は企画とか全然できないけど、誘ってくれた方はそういうことが好きで得意だからって、一緒にコラボイベントを開催しました」

ーやってみて、いかがでしたか?

「すごく楽しかったです。司会とかは全てお願いして、私は言われるままに弾いて、ちょっと喋って。それだけのことだったけど、はじめてのことだらけで、すごく必死でした」

ー緊張されましたか?

「しましたしました!!(笑) すっごい緊張して、あんまり覚えてない感じです(笑)」

ー緊張が伝わってきますね(笑) でもやってよかったですか?

やってよかったです!
今まで『自分でやらなきゃ!』ってがむしゃらにやってきて、『人に頼む』とか『人に甘える』っていうことが、すごく苦手だったんですよ。でも人を頼ってみて、すごく居心地も良かったし、頼っていいんだっていうのを感じさせてもらえて。すごくいい体験でした」

・失敗したっていいから、行動してみよう

ー月に一度、管理人との「対話コーチングセッション」がありますが、それはどのように活かされていますか?

「どう過ごしたかとか、心境の変化とかを話してるんですけど、ちょっとした会話で、意外なことに気付いたり、予想もしなかった方向に流れて行ったりとかして。話すって、すごく大事だなって思います

ー最近は、どんなお話をされましたか?

「この前『子供が好き。特に赤ちゃんが好き』という話をしたら、ハピさんも赤ちゃんが好きで、保育園に行ってるっていう話をしてて。『そうか、空いた時間をそういうことで埋めてもいいのか』って思って」

ーそういう発想はなかったんですね。

「そうですね。それでインターネットで探したりしていたら、子供を預かるっていう案件が舞い込んできたので、見学とか打ち合わせに行って。結局は時間とか色々合わなくて決まらなかったんですけどね。でも、話をして、探し出して、見つかって、決まる一歩手前までの流れが、1ヶ月の間で動いて。そのスピードがすごく速くて」

ーなるほど。動き出してからの速さが今までにはない感覚だったんですね。

「いつもなら、決まるまでにすっごい色々考えちゃうんです。でも、マイナスなことを考えたり、不安を感じる暇もなく、サッと動く『スピード感』って大事なんだなって思いました」

ーあまり行動に移さないタイプだったんですか?

「セラピーを習ったりして、頭とか気持ちは整理はできたけど、実際に行動には移せないというか動けずにいて。勇気もないですし。

 それをフォーカスは『こうやって動いていけばいいんだよ』っていうのを体感させてもらえる場所かなって思います。管理人のお二人もすごいエネルギーがあって、行動力があるから」

ー管理人のお二人を見ていると、行動するのが普通に思えそうですね。

「そうですね。『だめでもいいから、やってみれば!?』っていう勢いで、その波に私も乗らされちゃうっていうか(笑)今回は途中でダメになっちゃったけど、それでもいいんだって思わせてくれます」

ちょっとずつちょっとずつでも、人は変わっていく。

ー今、何をしている時が楽しいですか?

「自分のやりたいことに集中している時が楽しいですね。お花が好きなので、フラワーアレンジしている時とか、お料理に集中している時とか」

ー以前は、そこに楽しさを感じなかったんですか?

「前はいつも、あれもしなきゃこれもしなきゃって頭の中がわちゃわちゃしていて、結局何もできないまま1日終わったりして。達成感も何もなかったんです」

ーそんなに頭の中が忙しかったんですか?

「いつも脳疲労を起こしてたから(笑)友達に言ったら『そんなにいつも考えてるの?』ってすっごいびっくりされて。毎日うわーーって考えてて。考えてるつもりなんだけど、自分が本当にどうしたいのかとか、そういうところからは逃げちゃってて、結局自分のやりたいことが分からない状態でした」

ーそれはつらいですね…。そこからどう変えたんですか?

一つのことに集中する癖をつければいいんだっていうのを、フォーカスで他の方とグループでお話ししたり、個人的にお話ししたりして、気付かせてもらいました。

 今もたまに頭がわちゃわちゃする時はあるけど、『あ、わちゃわちゃしてるな』って気付けるようになりました」

ーだいぶ楽になったんじゃないですか?

「そうですね。うわーーってなってた時と比べると、すっごく楽ですね」

ー入居して半年、だいぶ変わりましたか?

「そうですね。ちょっとずつちょっとずつ、ですけどね。

 時々、今までの癖で戻っちゃいそうになるけど、でも『いけない!』って思って。

 それと同時進行で、お二人からアドバイスをもらったり、行動するっていうことをやらせてもらって。変化していると思います」

さいごに

終始、にこにこと優しい笑顔でお話しされていた理恵子さん。

「最後に、これだけは伝えておきたいことは?」と伺うと「ハピさんに会ってください!」と全力で答えてくださいました。

苦しいと感じた時期を越え、「アートセラピー」を学んで自分と向き合い、フォーカスで行動することの大切さを知り、今は自分のやりたいことに集中している時が楽しい。

ひとつずつは「ちょっとずつ」の変化かもしれませんが、振り返ったとき、それは大きな変化になっているのではないかと思います。

これからも、自分の「好き」や「やりたいこと」と出会い、変化を続ける理恵子さんの姿が、とても楽しみです。

インタビュー・文  岡田知子

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AUTHOR

【Focus&Journey管理人】おおの りえ

1971年8月26日埼玉うまれ / 東京都世田谷在住(静岡県伊豆と神奈川県二宮に拠点) A型 一児の母
OLから花の仕事に携わり18年。緊張しやすく自然体ではない自分に気がつき、心・体・精神の癒しの道へ。全ての経験が形となり【植物と共に、より自然な自分になる】をテーマに、1,000人以上の起業家支援など、多様なツールを用い活動。現在、誰もが持つ才能を現実社会の中で開花させる「Hanna Happiness(ハンナハピネス)」を経営。2020年にはオンラインメディア「Healing Garden」をスタート。リアルでは伊豆にてリトリートイベント主催。モットーは「信頼」。

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